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東日本旅客鉄道 水郡線
泉郷 【次の掲載駅】 小塩江  
川 東 Kawahigashi
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 もしかしたら、福島県内で「かわひがし」といえば会津若松市の北東にある磐越自動車道の磐梯河東インターチェンジのあたりをイメージする人の方が多いかもしれない。というのもその地は、2005(平17)年に会津若松市に合併されるまで河東町として存在していたことも大きい。
 本題の川東だが、ここもかつては川東村が存在した。1889(明22)年の明治の大合併で誕生したのだが、それ以前に川東という地名は無かった可能性が高く、阿武隈川の東岸にあったことから命名されたと考えられる。当地は1955(昭30)年の合併で誕生した大東村を経て、1967(昭42)年に須賀川市に編入されている。
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 ピンク色系の外壁と大きな金木犀の木が印象に強く残る駅舎の風景である。
 金木犀の根元には「地域の宝」と題した看板が立てられており、それによれば樹齢は80年くらいだそうだ…が、ややこの看板は古めなので、もう少し樹齢は進んでいるかもしれない。
 駅名は、出入口部の上部に木製のものが掲げられている。駅舎は「S6」(=1931(昭6)年)と打刻された建物財産票があり、水郡北線の終端駅として開業したときに建設されたものだということが判る。となると、写真の金木犀は駅の歴史をほぼ共にしているということになりそうだ。
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 駅舎をホーム側から見たところ。これまでいろいろな古い木造の駅舎見てきたが、裏側から見ても佇まいが美しい駅舎のひとつと言っていいだろう。
 訪問時は上下のホームを行き来するのに跨線橋が架けられていたが、跨線橋ができる以前は写真の左端付近に構内踏切が設けられていた様子が、国土地理院の空撮アーカイブから窺える。
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 かつては手小荷物取扱所の窓口だっただろう場所に、「水郡線全線開通80周年」の記念プレートが飾られていた。
 出入口の上部には、運行案内板が設置されている。出入口のラッチは無いが、その痕跡だろうか、ホームに出る扉の左右に細い3本の鉄材で立てられた短い柵が残されていた。(写真で右側の柵は扉の向こうに隠れている)
 
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 当駅は簡易委託駅となっており、窓口は現役…なのだが、訪れたのは土曜日ということもあったのだろうか、営業はしていなかった。
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 ホーム跨線橋から安積永盛側を見る。右が駅舎がある上りホームで、左が下りホームになる。
 下項で説明するが、掲載日現在では当駅の交換設備は廃止され、跨線橋も撤去されているので、この光景の写真を撮影するのはドローンでも使わなければ不可能となってしまった(私的撮影ではまず許可されないだろうけど)。
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 下りホームの跨線橋の階段のたもとには、短いホーム屋根と待合室が設置されている。ホーム屋根の位置にはワンマン運転の列車の乗車位置に設けられている。待合室の外壁は白に塗られているが、以前は駅舎と同じ色調のピンク色の外壁だったようだ。ちなみにこの待合室にも建物財産票が残されており、そこには「S9」(=1934(昭9)年)と打刻されていた。ということは水郡北線の終端駅として開業したときには無く、後の水郡線全通時に建てられたものだということが判る。
 この写真の風景も、掲載日現在では見られないものになってしまった。
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 下りホームの待合室に貼られた、下りホーム使用停止を案内する貼り紙。この貼り紙は駅舎内にも掲示されていた。
 これが意味するのは、撮影から半月後には当駅の列車交換の機能が失われる、ということだ。下り列車の利用者には跨線橋を利用せずとも列車が乗降車できるようになるというメリットはあるが、ダイヤグラム設定の自由度を下げるだけでなく、列車遅延に対する回復機能を低下させることにもなる。
 磐城石川ー川東 間の(営業キロで)16.9kmの閉塞区間もなかなか長いが、当駅の交換設備が廃止されると、磐城石川ー谷田川 間の(営業キロで)23.6kmに延びることになる。仮に延びた閉塞区間を表定速度を50km/hで走行すると見積もると、1列車がこの区間を30分程度占有することになる。現状列車の運転間隔が片道1~3時(臨時[普通]運休日には4時間以上間隔が開く)あるのでこれでも充分対応可能ということなのだろうが…本当にそれでいいのだろうか。あまりに遅れが出る場合は、安易に磐城石川ー郡山 間を区間運休するとかで対処されてしまうのだろうなんて考えると、なんか悲しい。加えて、水郡線には東北本線・常磐線・磐越東線の迂回線として機能させることは求めていない、ということなのだろう。 
 
【撮影日:14.10.11./掲載日:18.08.21.】
 駅舎とは向かい側の下りホームに下り列車が入線する。下りホームに列車が発着する姿ももう見られない光景となってしまった。

 ◆写真の列車情報◆ 水スイ E132-6(ほか1輛) 1207発 329D[普通]水戸→郡山
 
 
 

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