山を下る「辨慶号」(車輛番号 2)の車内から、中間の交換箇所と山を登ってくる「義経号」(同 1)を撮影。こうして写真を改めて写真を見ると、眼下の屋島の山の南側に街並みが広がっているのが見える。屋島ケーブル自体が観光目的の路線であったので、周囲に人口がある程度あっても利用に結びつかなかったことが容易に想像できる。
屋島登山鉄道は1929(昭4)年に当線を開業させた。一時は戦時不要不急路線として営業が休止されるが、戦後(1950(昭25)年)には復活する。しかし屋島の山上へのアクセス道路が1961(昭36)年に開通すると旅客が激減してしまうと、その後は客足が回復することはなかったようだ。それでも営業が続けられたものの、私が訪問した2年後には営業が休止された。営業最終日(2004(平16)年10月15日)は始業点検時にトラブルが発生し、そのまま運休になってしまったそうだ。路線としての廃止はその翌年で、さらに翌年の2006(平18)年には会社そのものが消滅してしまった。
現在は直接の代替交通機関というわけではないが、JR屋島駅・琴電屋島駅から屋島山上を結ぶことでんバスが、屋島ケーブルに打撃を与えた道路を経由して運行されている。
